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    真珠

    出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

    White pearl necklace.jpg

    真珠(しんじゅ)あるいはパール(Pearl)とは貝から採れる宝石の一種である。6月誕生石である。石言葉は「健康・富」。

    目次

    [編集] 概要

    真珠はの体内で生成される生体鉱物である。貝殻成分を分泌する外套膜が、貝の体内に偶然に入りこむことで天然真珠が生成される。つまり成分は貝殻と等しい。貝殻を作る軟体動物であれば真珠を生成する可能性がある。

    小石や寄生虫などの異物が貝の体内に侵入したときに、外套膜が一緒にはいり、結果、真珠が生成される。そのため、異物の侵入が真珠の成因だとする説が一般的であったがこれは誤りである。

    外套膜は細胞分裂して袋状になり、真珠を生成する真珠袋をつくる。その中でカルシウムの結晶(霰石)と有機質層(主にタンパク質コンキオリン)が交互に積層した結果真珠層が形成されて、真珠ができる。この有機質の薄層と霰石の薄層が干渉色を生み出し、真珠特有の虹色が生じる(→遊色効果)。有機質層の厚さや色素の含有量などによって真珠の色・照りが決まる。

    日本の養殖真珠の発明とは、球体に削った核を、アコヤ貝の体内に外套膜と一緒に挿入し、真珠層を形成させる、というものである。

    巻き貝から生成されるコンク真珠やメロ真珠は真珠層を持っていない。なので、上記の真珠と区別されることがある。

    真珠の重量の計量単位には、養殖真珠の産業化に成功したのが日本であったことから日本の尺貫法の単位である(3.75グラム)や(3.75キログラム)が用いられるが、グラム、カラット(200ミリグラム)やグレーン(通常は約48ミリグラムだが、真珠の計量については50ミリグラム)も用いられる。真珠の大きさの単位はミリであるが、真珠のネックレスの長さは業者間の取引では主にインチが使われている。

    真珠は6月の誕生石とされている。冠婚葬祭のいずれの場面でも使える便利な装飾品であるが、炭酸カルシウムが成分であるため、汗が付いたまま放置すると真珠特有の光沢が失われるので、使用後に柔らかい布で拭くなどの手入れが大切である。

    [編集] 歴史

    養殖真珠
    旅順口区真珠養殖

    天然では産出が稀であり加工が容易で「月のしずく」「人魚の涙」とも呼ばれているほどの美しい光沢に富むため、世界各地で古くから宝石として珍重されてきた。またその希少性から薬としての効能を期待し、服用される例がしばしば見られる。日本でも解熱剤として使用され、現在も風邪薬として販売されている。

    エジプトでは紀元前3200年頃から既に知られていたと言われるが、宝飾品としてあるいは薬として珍重されるようになったのは後の時代である。クレオパトラに溶かして飲んでいたと伝えられる(ただし村上信夫はこれに否定的で、「カエサルの歓心を買いたかったらしい。真珠が酢に溶けるのか、さて、自分はやった事はないが」と述べている。本人著『おそうざいフランス料理』のコラムより。)。世界の他の地域でも中国では紀元前2300年頃、ペルシャ紀元前7世紀頃、ローマでは紀元前3世紀頃から真珠が用いられていたという記録がある。

    日本においても日本書紀古事記万葉集にすでにその記述が見られる。『魏志倭人伝』にも邪馬台国台与に白珠(真珠)5000を送ったことが記されている。万葉集には真珠を詠み込んだ歌が56首含まれる。当時は愛媛県宇和海三重県英虞湾でアコヤガイから採取されていたが、日本以外で採れる真珠に比べ小粒だった。

    養殖真珠の歴史も古く、11世紀の中国などで既に行われているが量産することは難しかった。日本では1893年箕作佳吉の指導をうけた御木本幸吉英虞湾神明浦でアコヤガイの半円真珠の養殖に成功し、1905年、英虞湾の多徳島で真円真珠の養殖に成功している。

    養殖真珠の発明者は、日本では西川藤吉見瀬辰平の2人があげられる。1907年見瀬辰平が、はじめて真円真珠に関し「介類の外套膜内に真珠被着用核を挿入する針」として特許権を獲得した。続けて西川藤吉真円真珠養殖に関し真珠形成法の特許を出願する。この一部が前述の見瀬辰平の特許権に抵触するとして紛争が起こる。調停の結果、西川籐吉の名義で登録し特許は共有とすることとなった。この養殖真珠の特許技術は海外ではMise-Nishikawa Methodとして知られている。 また1916年および1917年西川藤吉の特許が4件登録された。西川藤吉は既に亡くなっていたため、息子の西川真吉が権利を受け継いだ。現在の真珠養殖の技術は西川藤吉のこれらの技術に負うところが多い。(西川藤吉御木本幸吉の次女の夫である)。

    その後、様々な技術の改良を経て真珠養殖は広まり、英虞湾、宇和海、長崎県対馬などで養殖が行われた。

    後にイギリスで養殖真珠が偽物だという吹聴がありパリで真珠裁判が行われたが、1924年5月24日、天然と養殖には全く違いが無かったので全面勝訴した。

    真珠養殖が始まってからほぼ100年が経過したが、1996年頃から始まったウイルス感染症によるアコヤガイの大量斃死現象や真珠摘出後の廃棄貝、および諸々の排水による湾の富栄養化などの要因から日本のアコヤ真珠の生産量は低下している。

    [編集] 真珠の種類

    アワビの貝殻内面の真珠層
    ピンク貝 Strombus gigas
    本真珠
    本来は鮑玉(あわびだま、アワビの内部に形成される天然真珠)の事を指すが、現在はアコヤガイPinctada fucata martensii)の真珠だけではなく淡水真珠までをも含めている。その際には貝パール等のイミテーションではないという意味。
    南洋真珠
    シロチョウガイ(白蝶貝、Pinctada maxima)から産する真珠。主にオーストラリアインドネシアフィリピンミャンマーで養殖されている。オーストラリア産の南洋真珠は青みがかった色を呈することが多い。一方、フィリピン産は黄色・金色の珠が多い。近年ではあまり見られなくなったが、真円真珠の養殖が終わった老貝で半円真珠を生産することもある。
    黒蝶真珠(黒真珠)
    クロチョウガイ(黒蝶貝、Pinctada margaritifera)から産する真珠。主にタヒチ(仏領ポリネシア)、沖縄県で養殖されている。タヒチで生産されるものは南洋真珠に分類されることもある。また他の真珠を染色処理し、黒真珠と呼んでいるものもある。
    マベ真珠
    マベガイ(マベ貝、Pteria penguin)から産する真珠。主に香港台湾、インドネシア、奄美大島で養殖されている。主に半球形であるが近年では養殖技術の向上で、球形も少量であるが産出される。真円の核を挿核して真円の真珠を作ることが難しいため、半円の核を貝殻の内側に貼り付けて半円形の真珠を作る。
    淡水パール
    イケチョウガイやカラス貝といった、淡水生の貝の中に出来る真珠は淡水パール(淡水真珠)と呼ばれる。現在流通している淡水パールのほとんどは養殖によって生産されている。養殖の際に母貝内に外套膜片のみを挿入し、核を挿入しないことから真珠が真円には育たずライス型やドロップ型といったさまざまな形状の真珠が得られる。その色も、オレンジや紫など多岐にわたる。淡水パールのうち、粒が小さく安価なものはビーズとして使用される。近年では核を挿入して10mmを超える大玉も産出されるようになった。アコヤガイや他の真珠と同様の核を使う場合と小玉の淡水真珠を使う場合とがある。
    コンクパール
    西インド諸島カリブ海に生息する巻貝であるピンク貝(Strombus gigas)から産する真珠。珊瑚のようなピンク色(他に白、黄、茶などもある)をしており、火焔模様が見られるのが特徴である。ピンク貝は巻貝であり人工的に核を挿入することが不可能であるため、コンクパールのほとんどが天然の真珠である。(2009年11月。GIAのG&G eBriefにより養殖コンクパールの成功が報告された。)またピンク貝そのものが現地では貴重なタンパク源として食用とされており、積極的にパールが採られている訳ではないことから希少とされている。なおコンクパールは真珠層真珠ではなく、交差板構造から成る真珠である。
    その他の貝の真珠
    基本的に真珠層を持つほとんどの貝は真珠を産することが可能である。非常に稀であるが、例えばハマグリアサリシジミなどでも真珠を産する。
    模造真珠
    プラスチックパール
    真珠を模したプラスチック球。軽く、表面は真の真珠層ではないために汗などに強い。
    貝パール
    養殖真珠の核に人工的に真珠色の塗装を施したもの。

    [編集] 参考文献

    • バイオミネラリゼーション 生物が鉱物を作ることの不思議 渡部哲光 著 東海大学出版会(1997年) ISBN 4-486-01391-3
    • 真珠の事典 松井佳一著 北隆館(1965年) ASIN: B000JADINC

    [編集] 「○○の真珠」と謳われる都市

    [編集] 関連項目

    [編集] 外部リンク

    ウィキメディア・コモンズ

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